自衛官の定年は51~60歳。年齢に開きがあるのは、階級により定年が異なるため。
体をバリバリ動かす必要がある現場に年寄りを配置してもチームに迷惑をかけることに‥‥。逆に、何千人もの部隊を動かす必要がある指揮官は多くの経験を積んだ階級の高い人でないと務まらない。
60歳まで務めあげられる人は極一握りなのに、定年後を視野に本気で準備している人は殆どいないのが現状。
1.エリートサラリーマンでも起こりえるレールを外れる人生
著者である水上さんは慶應大学卒後に大手金融機関で支店長まで務めたエリートサラリーマン。頭がいいだけでなく、物腰が柔らかい、周りに気遣いができる立派な方です。
会社員時代に14回の部署移転、11回の転勤、11年間の単身赴任、2度の会社合併を経験されたそうです。まさに、会社に尽くした人生。
そんな方でも56歳で突然の社外出向。収入は激減、家族の病気は悪化、実父は痴呆、実母はガンが発覚‥‥。
優秀な方でも、数が少なくなる椅子取りゲームに勝ち残るのには壮絶な戦いに勝ち残る必要があるばかりか、負けたときの落差が大きくなることがよくわかります。
その後、母親、父親の死後に遺産相続を経験、自分の老後の人生について真剣に考えなければならない時期であったこともあり、お金に向き合うようになったのだとか。
まさに、この時の経験がこの本の内容になったようです。
2.老後の「3K」とは
老後に不安に思う上位3項目は「(お)金(kane)」、「健康(Kenko)」「孤独(Kodoku)」
だそうです。 (水上さん)
つまり、お金が1番の不安要素であり、この部分がクリアできれば、他の問題も大方解決することができることになります。
とくに、水上さんが定年前までに見直しておきたい4つの支出として下記をあげています。
① 自動車を所有するコスト(500~700万円)
② 生命保険(360~840万円)
③ 電話などの通信費(100~200万円)
④ 住宅ローンの借り換え・繰り上げ返済(100~400万円)
※()内の金額は10年間の合計
水上さんは、省庁や生命保険会社から公表されているデータを元に具体的な改善策を説明しています。
10年間の合計額は1060~2140万円になります。
もし、50代ではなく40代で見直しに着手することができたら、節約できる金額は2倍の2120万円~4280万円になります。
「自分は60歳で手遅れだ」と思う方がいるかもしれませんが、気付いた瞬間がその人にとって一番若いタイミングです。すぐに取り組めば生涯を終えるまで発生する無駄な支出を削ることになるのです。
3.著者が経験した家計上の「6つの崖」
人生において、収入が減る、もしくは支出が増えるなど、家計を圧迫する6つの崖が存在します。(水上さん)
①役職定年(55才頃) ②定年で再雇用(60才頃) ③年金生活(65才頃) ④配偶者との死別で公的年金減少 ⑤病気 ⑥介護(水上さん)
言われてみれば納得の項目であるうえ、誰の身にも起こりえることです。
これからは、高齢者世帯の収入は減っていくことになります。少子高齢化で、年金支給額が減額されるばかりか、健康保険や介護保険が上がり、病院や介護にかかる自己負担率が高くなることが予想できるからです。
減額される収入、増える支出。崖を向かえる前に家族でそれに対する備えをしておくことが大切です。
4.高齢夫婦無職世帯の家計は毎月約4万2千円の赤字
平均的な高齢夫婦無職世帯の家計は毎月約4万2千円の赤字です。(水上さん)
月4.2万円赤字であるということは、年50万円以上の貯金を切り崩すことになります。
10年で500万円以上。住宅ローンが残っていなければ、退職金で賄える金額にも見えますが、家の修繕費や医療費など、思わぬ支出が発生した場合難しくなる可能性もあります。
前項で上げたとおり、これから先は年金支給額が減り、医療費の負担額が高くなることを考えると老後の人生を上手く乗り切れない人が出てくることも予想できます。
老後に好き好んで周りの人に迷惑をかけたい人はいないと思いますが、自分が払えないツケが残されたら子供や兄弟、最終的には国家に回ってくることになります。
そんなことにならないためにも、日頃からマネーリテラシーを高めておくことが大切です。
まとめ
この本を読むことで、50代に着手しておくべき支出の削る場所を理解することができます。しかし、50代からではなく、もっと早い段階から国民一人一人が取り組んでおいことで、老後に困る人を減らせる!
つまり、社会を悪化させないためにも多くの人に読んでもらいたい書籍です。
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