キャリアアップ、管理職・リーダー研修等の人財育成講師、沖本さんの11冊目の著作。
著者は、TBS報道番組Nスタで“プレゼンの達人”と紹介されたほか、著者が提唱している「5分会議」が毎日放送「今日感テレビ」で紹介されているほどの人気講師です。
1.無駄ばかりだった自衛隊時代の会議
この本を読んで思ったことは、「今まで多くの時間を無駄な会議に費やしてきた」という後悔でした。
私が自衛隊で勤務していたとき、会議は嫌いでした。なぜなら、会議が実施される度に新しいルールが定められ、仕事が複雑になり業務量が増えていくからです。
自衛隊組織は上意下達、指揮官に強い権力が集中しているため、参加者は上司の意に沿う意見を提案して結論に導く。つまり、合理性や効率性を軽視して物事を決定していく組織なのです。
会議を仕切る方も、事前に関係者で集まり打合せを実施してから配布資料を作成、司会業に議事録作成など毎回、分担はされているとはいえ関係者はゲッソリする思いで進めていました。
民間企業だったら、従業員が業務を止めて会議に参加するのですから、コストを意識するとは思いますが、自衛官はいくら使っても人件費は同じ。ゆえに過酷な部署は月曜に出勤したら帰宅するのは金曜の夜なんていうところも存在します。
2. 会議で検討すべきは意見の妥当性
「会議で検討すべきは意見の妥当性である」(沖本さん)
「会議は、上司の顔色をうかがって進めるものでも、別派閥の意見を潰すためでも、嫌いな人の意見を参加者の前で全否定するための場所ではありません。
また、会議で良い提案をした人が、提案した責任として仕事を背負いこむような組織であれば、活発的な発言は出てこない」(沖本さん)
本当にその通りだと思いました。当時、会議を進めていた人、ひいては組織全的にこのような着眼点が欠落していたから会議に対して後ろ向きなイメージを持っていたのだと思います。
「会議で出された意見はリサイクルできる」(沖本さん)
沖本さんがコンサルしている会社では、採用にいたらなかったアイデアなども議事録を見返すことで、アイデアのリサイクルをしているそうです。しかも、議事録を別に作成するのではなく、板書したものをスマホ等で撮影して、画像をファイルに残し共有するシンプルかつ合理的なやり方だそうです。
自衛隊では、大変な思いをして会議を終わらせて議事録を残すも、ファイルに閉じた後は、日の目をみることが‥‥。
3.傍観者多い生産性の低い残念な会議
「主宰者と、主宰者の意見に反対する2人が発言するだけで、他の参加者が傍観者になっていては、参加者の持っているアイデアを活かせていないばかりか社員の成長を止めることになる。」(沖本さん)
忙しい業務をやりくりして出席した会議、自分の意見を述べる機会もなく、ただ、声の大きい人が議論しているのを聴くだけでは、なんのために時間をやりくりしたのかわかりません。
会議は、社員のコミニケションスキルやビジネススキルを成長させる大切な場にもなります。週1時間の会議も1カ月で4時間、1年40時間以上。40時間主体性を持って社員に議題について考えさせるのか?傍観者として時間を過ごさせるのか?確かに疎かにしていたら会社が傾く問題に発展すると思いました。
まとめ
1. 会議のノウハウを持たない組織は効率の悪い会議を繰り返す
2. 会議とは、嫌いな人の意見を潰す場ではなく、意見の妥当性を見定める場
3. 参加者が主体性を持って議論に参加しなければ、社員は成長しない
何年も会議に参加していたのに、会議の目的や効率的な進め方について初めて考える機会を得ました。本書は沖本さんが提唱している、参加者全員が主体性を持って会議に取り組むようになる「5分会議」のメソッド及び利点について包み隠さず書かれています。
社会人として働いている方は元より、これから社会人になられる人も一読しておきたい良書です。
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